18.就職支援財団理事長/満井義政氏(3)

2013年02月25日12:00
今月の物語の主人公は・・・
就職支援財団理事長 満井義政 さん
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(3)

◆プロフィール 満井義政(みつい よしのり)さん
1948年、静岡市清水区生まれ 。中央大学経済学部卒業と同時に株式会社アルバイトタイムスを創業。 代表者として2004年まで求人情報誌はじめ人材派遣、人材紹介などの経営に携わる。 その間、社団法人全国求人情報協会の理事長に就任(95年から03年)。2006年就職支援財団を立ち上げ、大学生を中心に就職をテーマにした支援プログラムを運営。 2007年より静岡大学理事(非常勤)、2009年より静岡銀行監査役(非常勤)。
◆就職支援財団 http://www.shushokuzaidan.or.jp

※この記事は、全6回のうちの3回目です。 (1)を読む / (2)を読む
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

|「知らない」ことを認めれば、そこから問題提起が始まる

―「問題提起」のきっかけやタイミングは、何であることが多いのでしょうか。

満井/それが何なのかを見つけることが今の課題です。会社勤めと起業を両方経験した海野さんに教えてほしいくらいですよ。

―最近は、高校生も支援塾生としてプログラムに参加していますよね。これも、気づきのきっかけやタイミングを考えた上での取り組みですか。

満井/そうです。数年前から高校生も支援することにしました。大学生よりも早い段階で気づきがあるんじゃないか、高校生のときの気づきが大学になって影響を与えているんじゃないかと思いはじめたからです。今は、もしかして問題提起の始まりは中学生の頃なのかなとも思っています。そう考えると、どんどん前倒しになってしまうのですが。人が問題提起する時期って、本当にいつなんでしょうね。それがわかれば、その時期にフォーカスしてプログラムを組んでいくことができます。あとは応用問題、自分で気づいて問題提起ができれば、次にやることを考えて、決めて、実行するだけですから。

―大学生と高校生で、反応は違いますか。

満井/違いますね。ひとつわかったことがあります。大学生と高校生を同じプログラムに参加させた場合、高校生は自分がわからないことについて「これは何ですか?」と気軽に言えます。でも、大学生はわからなくても「わからない」とは言わない。これは発見でしたね。

―その場合、知らないということを自覚できていない、つまり本人は知っているつもりの場合と、知らないけれど周囲の手前「知らない」と言い出せない場合とがありますね。

満井/そうですね、両方あると思います。多くの場合は、「実は知らなかった」「正確には知らなかった」ということのようです。高校生に「これは何ですか」と聞かれた時、大学生は先輩として説明しなくてはならない。いざ説明しようとしたら、上手く説明できない、実は自分もよくわかっていなかった、ということに気づくわけです。

18.就職支援財団理事長/満井義政氏(3)

―それはよくわかります。わたしも「実は知らなかった」ということが多いです。

満井/知らないことを知ることが、気づきのスタートであり、問題提起のはじまりです。その体験は早いほどいい、という仮説のもと、気づきのあった時に、回りがどのようにフォローしていくかが成功事例につながっていくのではないかと考えています。「それは自分で調べなさい」と言われるのか、「それはこういうことなんだよ」と教えられるのか、あるいは「そんなことも知らないのか、しょうがないなあ」と叱られるのか。いろいろなフォローがありますが、フォローの仕方によってそれ以降の成長のあり方が変わっていきます。

|自分で考え、実行する。その環境を作ることが、僕らの目的

―今おっしゃった3つのフォローの中では、どのフォローがいいのですか。

満井/ひとつの正解があるわけではなく、一人ひとりにあったフォローが必要なのだと思います。僕の場合は3番目、叱られて育てられました。会社を始めた頃はビジネスというのがどういうものなのかをまったく知りませんでしたから、とにかく人に聞く。すると、「そんなことも知らないの」と叱られて、恥をかく。ですから、いつも劣等意識をもっていましたね。まあ、その頃僕は20代前半でしたから、相手も叱りやすかったんでしょう。
会社を始めた頃のことですが、営業先に名刺を持たずに行ってしまったことがあります。そのときはお客様に、「君の会社の社長の顔が見たいなあ」「名刺を忘れるような営業に注文なんかしたくないよ」とまじめに怒られたんですよ。幸いにも、その時はご注文いただきましたが。

―最近は「褒めて育てろ」といいますね。叱って育てる方法は流行らないようです。新入社員を叱ると3年もたずに会社を辞めてしまうということも聞きますし、先輩も後輩を叱っていいのか自信が持てないようです。

満井/やはり、気づきがあった時に周囲からどんな声をかけられるのかに、人は大きな影響を受けるということです。生まれ育った環境や、どんな人たちが近くにいたのかがポイントになります。そこに立ち戻れば何かの気づきができ、決断力が生まれ、実行できる・・・そんな場の提供が、財団の目指す究極のプログラムかもしれません。いざ実行してみても最初から上手くいくわけはありませんから、プログラムを通じてまた別の方法でチャレンジしてみる。それを繰り返すことで、若者たち自身の問題解決ができるのではないかと考えています。
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(3)

―支援プログラムに関わっている「強力な助っ人、強力メンバー」のみなさんが、社会人サポーターとして学生さんの気づきを支援し、視野を与える役割を担っているのですね。

満井/そのとおりです。一方で、財団のOB・OGも社会人4・5年生になってきました。20代の半ばになり、会社という組織や社会の成り立ちが見えてくる年齢だと思います。最近では、OB・OGである彼らがプログラムに参加してくれる場面も増えてきました。彼らは塾生の気持ちもわかりますし、社会人としての視点もあわせもっている。身近な先輩として塾生にあれこれ声をかけてくれるようになりましたね。今後は社会人サポーターに加え、塾生OB・OGにも協力していただいて、若い人を支える場、人的ネットワークの提供をしていこうと考えています。7年目に入ってようやく方向性が見えてきましたね。

―いい循環が生まれつつあるのですね。

満井/構造的にいえば、そんな循環を作っていくことも財団のひとつの目的です。先輩たちが若者たちに気づきのきっかけを与え、決断、実行の支援をしてくれるようになれば、スタッフも必要なくなる。それがひとつの理想かもしれないですね。

※続き(第4回)を読む

18.就職支援財団理事長/満井義政氏(3)


同じカテゴリー(18.満井義政さん)の記事画像
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(6)
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(5)
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(4)
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(2)
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(1)
同じカテゴリー(18.満井義政さん)の記事
 18.就職支援財団理事長/満井義政氏(6) (2013-03-25 12:00)
 18.就職支援財団理事長/満井義政氏(5) (2013-03-18 12:00)
 18.就職支援財団理事長/満井義政氏(4) (2013-03-11 12:00)
 18.就職支援財団理事長/満井義政氏(2) (2013-02-18 12:00)
 18.就職支援財団理事長/満井義政氏(1) (2013-02-11 12:00)
Posted by eしずおかコラム at 2013年02月25日12:00 | 18.満井義政さん
削除
18.就職支援財団理事長/満井義政氏(3)