19.しずおかGENTEN理事長/鈴木智子氏(2)

2013年04月15日12:00
今月の物語の主人公は・・・
NPO法人静岡県大学生大学院生ネットワークしずおかGENTEN 鈴木智子 さん
19.しずおかGENTEN理事長/鈴木智子氏(2)

1987年焼津市生まれ。2010年静岡大学教育学部卒業。大学2年より雑誌『静岡時代』の制作に携わる。現在は同誌をを発行するNPO法人静岡県大学生大学院生ネットワークしずおかGENTEN理事長。

大学生がつくる雑誌『静岡時代』
静岡県内の学生が大学の枠を超えて研究室や部活、サークルなどをつなぐ雑誌。2005年活動開始、2006年創刊。年4回発行、発行部数1万部。県内大学および大手書店などで無料配布。
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◆「静岡時代とは?」編集部ブログより http://shizuokajidai.eshizuoka.jp/c30445.html
◆ウェブ版「静岡時代」 シズオカガクセイ的新聞 http://gakuseinews.eshizuoka.jp
◆フェイスブックページ 「静岡未来」 http://www.facebook.com/shizuoka.mirai

※鈴木智子さんへのインタビューは全3回に分けて公開しています。
  ≫1回目を読む ≫2回目を読む ≫3回目を読む
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|街の方からの応援を実感するようになりました

―『静岡時代』を6年間発行し続けてきて、地域の反応はいかがですか。

鈴木/取材でお話をお伺いした人が『静岡時代』をおもしろがってくれることはよくあります。それから、街の方々から思いがけないご期待をいただくことも増えてきました。『静岡時代』に関わるようになって気づいたのですが、街のみなさんが日常生活で県内の大学に通う学生と関わることは案外少なかったりするんです。普段なかなかお会いする機会のなかった地域の方々が、取材をきっかけに活動に興味を持ってくれて、「(『静岡時代』を)続けてほしいから、何かあれば協力するよ」と言ってくれたりします。そんなちょっとしたきっかけや出会いが積み重なって、今は本当にみなさんから応援やご期待をしていただいているんだなと感じるようになりました。

―それはうれしいことですね。

鈴木/そうですね。それは私だけでなく、実際に取材にお邪魔させていただく学生たちも心から感じていると思います。活動に関わる学生、また大学社会や、街のみなさんからの期待に応えるためにも、雑誌『静岡時代』を作り続けることが、私たちの組織でまず大切にしなくてはいけないことだと思っています。
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―創刊当時は、就活サークルの広報誌としてのスタートでしたね。

鈴木/はい。でもいまでは『静岡時代』という媒体そのものが活動の大きな柱です。その都度、いま『静岡時代』に取り上げるべきテーマは何かということを考えながら作っています。

|あなたは本当に仕事をしたい? しなくてはだめ?

―これまでにいろいろな企画をやっていますよね。昨年の「“夜遊び”って何だ!?」の号も楽しく読みました。反響の大きかった特集、ヒット企画を教えていただけますか?

鈴木/やはり“就職”関係は、反応が多かったです。昨年、学生と企業経営者・人事担当者が交流するイベントを開催しました。2012年11月には仕事、就職について特集を組んだ静岡時代別冊『働くってなんだろう?』という雑誌も作りました。海野さんにもご協力していただきましたよね。実は、2010年の秋に、すでに同じような企画を『静岡時代』本誌で特集したことがあるんです。タイトルは、「仕事なんてしたくない」。この号には、発行直後だけでなくそれ以降もコンスタントに問い合わせをいただいています。

―ぼくもよく覚えていますよ。その号で「社長さんに聞く、仕事の楽しみ方」という取材を受けました。「ホンネでは、仕事なんかしたくないんです」という学生さんの不安を取り除くのが、ぼくのお役目だった。

鈴木/そうです、その号です。

―インタビュアーの学生さんが、“就職して自分のやりたいことができるのか”、“企業に入って営利を優先しながら働くことに疑問を感じる”、“とにかく働くことがどういうことか想像できなくて”・・・など、いろいろな不安を持っていました。その時ぼくは、自分のやりたいことって、案外自分でもわかっていないもの。世の中には、やってみないとその面白さに気づかないことの方が多いかもしれないですよ、とお答えした記憶があります。社会人も、新しい仕事はやっぱり不安ですと。それから、そもそも、儲けることってどういうことだと思う?いけないこと?と逆に聞いてみたり。学生さんの不安解消に、少しはお役に立てたのかな…。でも、学生のみなさんの一番の関心ごとは、就職なんですね。

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鈴木/どうしても情報が入ってきますし、学生にとって影響の大きいことですよね。趣味や流行は時代とともに変化しますし、人それぞれです。でも、いつの時代でも、誰にとっても変わらない学生にとっての一番の興味関心は、やっぱり仕事や就職のことなんだなと感じます。「仕事なんてしたくない」という企画は、タイトルからも言えますが、まさに学生の正直な気持ちを汲んでいる企画だったと思います。

―特集をご覧になった学生さんは、どんな反応だったんですか。

鈴木/“仕事なんてしたくない!?・・・そうくるか”、という反応がまずありました。

―それはどういうこと?

鈴木/学生には否応なく、就職について考えなければない時期がきますよね。その時がくれば、周りの流れに乗ってとりあえず就職活動を始めなければ…と、当たり前のように就活を始める学生に向かって、「あなたは、心から働きたいと思ってる?」という疑問を投げかけたわけです。本当に就職したいと思っていますか?と。

―「できればしたくない」という気持ちがあるけれど、そうは言えないだけじゃないのか、と。

鈴木/そんな学生の気持ちを、正直に言い切ってしまったわけです。この特集は、すでに社会に出ている先輩たちの中にも共感してくれる方がいました。働きたくないという正直な気持ちを踏まえたうえで、働くことや就職をどう捉えればいいのかを考えるきっかけになった企画でした。そもそも就職についてそこまで掘り下げて考えたことがなかった、疑問に思ったこともなかった、という感想も聞かれました。
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|雑誌の特集を、学生の興味を引き起こすきっかけにしたいんです

―学生さんにとっては、大きな気づきのきっかけになりましたね。逆に、作り手の期待は大きかったのに、反応がなかった企画はありますか?

鈴木/わたしが4年生の春に「ランセ(乱世)の教科書」という特集をしました。ちょうどリーマンショックが起きた頃です。経済が停滞して社会が大騒ぎになっている中で、自分はどうあるべきか、ということをみつめ直すきっかけになればと思って企画しました。編集長だったわたし自身は満足できたのですが、はたして読者にどれだけこちらの意図が伝えられたか、と考えると疑問が残りました。

―それは、読者からの反応がなかったということ?

鈴木/わたしがこの企画で何をしたかったのかを友人に直接会って話をすると「あっ、そういうことだったんだ!」という反応をいただき・・・。一つ一つのインタビューが面白くても、ひとつの特集、企画としてのパッケージに対してなかなか反応が感じられず、伝わっていなかったのかなと思う経験はありました。
私はこの特集を制作し、雑誌を配布する頃はまさに就活まっただ中の時期でした。リーマンショックが表立って言われるようになってきたのは大学3年生の頃で、就活本格化を控えた時でもあったのですが、なんだか世界が騒がしい・・・。周辺を見ても、就活を控えた学生は特に、なんだかよくわからないけれど、どうしようどうしよう、という漠然とした不安が漂っていたんです。でも、たとえどんなに混迷の時代が来ても、人間は生きていきますよね。当時は、それならば、今起きていることをどう捉え、どう生きていけば良いんだろう、ということを考えるきっかけづくりがしたいと思ったんです。答えは個人個人異なると思いますが、みんながそれぞれに考えるための教科書ができたら良いなと企画しました。

―特集を考える時に、大切にしていることはありますか。

鈴木/特集したいことのアイデアは編集長ごとにいろいろあると思いますが、『静岡時代』では、静岡の街・学生(大学)がどのような舞台設定だとより面白くなるだろうかということを必ず考えます。学生が興味を持っているテーマかどうかを意識することも必要ですが、そもそも強く興味を持っていることって人それぞれですし、数で言えば一人一人ではそれほど多くないようにも思います。そんな学生に、どんなテーマであれ『静岡時代』が深堀りすることで興味を喚起することができるんじゃないか、喚起したい!と考えています。だからでしょうか、どの特集でも「知らないことを知ることができた」という感想をいただくことが多いです。読者からのそんな反応が、作り手としてはとてもうれしいですね。
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『静岡時代』編集部の様子。ここで雑誌の構想や原稿が生まれていく


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※鈴木智子さんへのインタビューは全3回に分けて公開しています。
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Posted by eしずおかコラム at 2013年04月15日12:00 | 19.鈴木智子さん
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