38.しろくまジャム/武馬千恵氏(3)

2016年01月28日12:00
今月の物語の主人公は・・・
「しろくまジャム」・武馬千恵(たけま ちえ)さん

38.しろくまジャム/武馬千恵氏(3)
 【プロフィール】
 1980年、愛知県名古屋市生まれ。エコールキュリネール国立辻フランス料理専門カレッジ卒業後、フランス料理専門店に勤務。その後、青年海外協力隊に参加し、カリブ海 セントビンセント及びグレナディーン諸島で村落開発普及員として活動。2010年に帰国後、JICA静岡県デスク 静岡県国際協力推進員として勤務。2014年から、手づくりジャムの販売開始。2015年6月、葵区鷹匠一丁目に「しろくまジャム」オープン。

「しろくまジャム」公式ホームページ
「しろくまジャム」facebook


※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全3回のインタビューのうちの3回目です。
≫インタビュー1回目はこちら
≫インタビュー2回目はこちら


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|難しいのは、静岡の人の飽きっぽさ

-お店の経営は予定どおりですか。

武馬/おかげさまで、なんとかお店を回していけています。もともと収支計画をすごく慎重に見積もっていたので。でもビジネスは、新しくやりたいことがどんどん増えていきますから。いつも「もっとなんとかしたいな、次は何をしよう」と思っています。

-大きさはともかく、ビジネスはお金が健全に回ることが大切ですよね。半年で軌道に乗っているのはすごいです。

武馬/ありがとうございます。現状に満足しないよう、次のことを常に考えています。難しいのは、静岡の人の飽きっぽさ。おなじことをやっていると、お客さまはすぐに飽きてしまう。何もしなかったら確実に埋もれてしまうと、日々感じています。

-単に「ジャム」を売るとか、ランチを提供する、だけではない?

武馬/そうですね。お客さまから“お店に行くたびに新しいモノやコトが待っている”と期待しているのが伝わってくるんです。ジャムだけをとっても次はどんな種類があるかな?というようなワクワク感を持って来てくれています。ですから、変えていいところはどんどん変えて、変わってはいけないところはずっと変えずに、バランスをとりながらやっていきたいです。

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|将来にむけて

-これからやりたいことは?

武馬/県外にも静岡の情報を発信していきたいです。静岡市は人口減少が大きな課題になっていますが、静岡市が暮らしやすい町・とてもいい街だということは、わたし自身が移住組だからよくわかるんです。ですから、県外の方に静岡市のことをもっと知ってほしいという気持ちが強いのです。12月には「Global Sprout」というカタログギフトに、しろくまジャムの商品を載せ始めました。東京のファーマーズマーケットにも出店したいし、ネット販売もやりたいです。とにかく、もっと外に、広く情報発信していきたいです。

-はい。

武馬/さらに先のことになりますが、いつかココだけじゃ足りなくなると思っています。商品をつくる加工所が必要になるでしょう。そこではぜひ女性の力を借りたいです。先日、アルバイトスタッフが「家庭だけではない新しい自分の場所が出来たことで、毎日がとても楽しくなった」と話してくれたんです。まだまだ小さなビジネスですが、色々な方と関わっていきたいです。

-ええ。

武馬/また、最近よく問題になっている子どもの貧困も気になっていて、「食」をテーマに何かできることはないだろうか、と考えています。たとえば、こどもたちに無料で食事を提供する「こども食堂」とか。東京ではすでに始まっている取り組みなんですが、みんなで食卓を囲んで食べるご飯がいちばんおいしい、とセントビンセントで学んだので、月に1度くらいでできないかと企画しています。

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-いろいろなことが視野に入っているんですね。実現するためには、運営体制を整える必要もありそうです。

武馬/はい。単なるボランティアではなくソーシャルビジネスとして、きちんと収支をあわせた経営基盤をつくる必要があります。そのうえで、地域社会のためになることに取り組んでいきたいです。“お金を稼ぐことは悪”みたいな見方もありますが、それは違いますよね。資本がなければ、やりたいこともできません。“思い”と“お金”を両輪にして、持続できる体制をつくることが大切だと思います。

-そのためには、なにが必要ですか。

武馬/時間ですね。いまは本当に時間がありません。朝仕込みをして、お店がオープンしたらランチの対応をして、それが終わったら翌日の仕込みです。夜はジャムづくりで毎日が過ぎてしまう。経理やデザインなどにかける時間さえなくて。業者さんにまかせられれば楽なのですが、お金はかけられないし…。

-そうですよね。

武馬/でも振り返ってみると、最初はお金をかけないで、何事も自分でやってみたほうがいい、と思うようになりました。やってみて気づくことが次から次へと出てくるので。それから、セントビンセントの人に教えていただいた”お金がなくても明るく生きる、楽しむ”ということも、今の自分の支えになっています。

-静岡の魅力を、地元はもちろんのこと、県外の方にも知っていただけるように、ますますの活躍を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

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◆しろくまジャム・武馬千恵さんへのインタビュー/完


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Posted by eしずおかコラム at 2016年01月28日12:00 | 38.武馬千恵さん
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