39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)

2016年04月07日12:00
今月の物語の主人公は・・・
「手打ち蕎麦 たがた」主人・田形治(たがた おさむ)さん

39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)
 1968年静岡市生まれ。中央大学法学部卒業。魚屋、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)勤務を経て、2004年2月静岡市葵区常磐町に「手打ち蕎麦たがた」オープン。オクシズ在来作物連絡協議会会長、静岡在来そばブランド化推進協議会代表。

「手打ち蕎麦たがた」公式ホームページ


※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全2回のインタビューのうちの1回目です。
≫インタビュー2回目はこちら


・・・・・・・・・・・・・・・

 2015年8月のイタリア・ミラノ国際博覧会(万博)に「チーム静岡」のメンバーの一人として参加した田形 治さん。手打ち蕎麦のお店を経営するかたわら、静岡の在来作物、在来そばの普及活動にも取り組んでいます。その田形さんに、静岡の食文化がイタリアでどのように受け入れられたのか、静岡の食にどんな可能性を感じたのか、お伺いしました。
* * * * * *
 

|蕎麦を世界に知ってもらうチャンスだった万博

-今日は、昨年参加されたイタリア・ミラノ国際博覧会でのお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

田形/こちらこそ、よろしくお願いします。

-そもそも、ミラノ万博に参加するきっかけは何だったんですか。

田形/静岡県が、県内の食文化を伝える「チーム静岡」を派遣することになって、そのメンバーである藤枝市のイタリア料理店「NORI」の西谷文紀さんに推薦していただいたことがきっかけです。

西谷さんもわたしも在来作物の活動を通じて知り合って、静岡県が取り組んでいる「食の仕事人」という事業で交流が深まっていました。そんな時、県の担当者から「静岡県なので、お茶を使った蕎麦がいいね」と提案がありました。

39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)


-「チーム静岡」の声がかかった時は、どんな気持ちでしたか。

田形/びっくりしました。「えっ!イタリア!?」という反応でしたね。
「食の祭典」として開かれるはじめての万博、ということは耳にしていましたが、まさか自分が現地で蕎麦を打つことになるとは。大変な驚きと同時に「これはチャンスだな!」という気持ちも沸きました。

-チャンスというのは?

田形/“すし”“てんぷら”は今では世界中に広がって、そのおいしさが認められているのに、日本を代表する“蕎麦”は、まだ世界の人に知られていません。“食の祭典”であるミラノ万博は、日本人のソウルフードのひとつである“蕎麦”を、ヨーロッパや世界の人に知ってもらう、よいきっかけになると思ったんです。


|静岡をPRする蕎麦を提供

-どんな準備をされたのですか?

田形/最初に頭に浮かんだことは、地中海性気候のイタリアで蕎麦がつながるのか、ということ。まずは、そば粉やそばつゆ、そば打ち道具を日本からイタリア国内に持ち込めるのか、調べることからはじめました。

-食品の持ち込みや取り扱いについては、国によっていろいろな規制がありますからね。

田形/結論からいいますと、現地で蕎麦を打って、その場で試食というのはできませんでした。でも、パフォーマンスとして蕎麦を打つのは大丈夫でしたので、会場ではお客さまにそば打ちの実演を披露し、日本から持ち込んだ食材を食べていただくことにしました。わたしたちは「チーム静岡」ですから、静岡発の「ちゅるりん麺」の試食を行いました。

39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)


-「ちゅるりん麺」とは?

田形/静岡大学の学生さんと共同開発した、小麦粉にお茶を練り込んだコシのある新しいタイプの麺です。静岡の在来茶と小麦粉の特殊製法で“ちゅるりん”とした食感が特徴です。


|大盛況の日本館、人気の秘密は?

-日本館は、並ばないことで知られるイタリア人が9時間も待つほど人気だったそうですね。

田形/はい。並ぶことが苦手といわれるイタリア人が、私たちが滞在した時でも3~4時間待ちの行列をつくるほどの盛況でした。後になって聞いたところでは、最長9時間待ちになった日もあったようです。イタリア館の待ち時間が最長5時間ですからね。それを超える人気だったといえるんじゃないですか。

39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)


-どんなところがイタリア人に受けたと思いますか。

田形/まず、タイミングがよかったですね。日本の伝統的な食文化である「和食」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されたのが前年12月。万博はそれから約半年後の開催で、現地でも話題性がありました。

-文化遺産効果は大きいですね。

田形/そうですね。もちろんそれだけではなく、日本館の展示内容も素晴らしかったです。日本文化を紹介する展示作品のなかに「和食」を配置していたのですが、その展示方法が効果的だったと思います。

館内のアトラクションを見学して「和食」に興味をもった来場者に、日本館を出た目の前でそば打ちなどの演目を披露しているわけです。自然な流れで演目も楽しめる会場の配置も、集客効果が高かったと思います。

-試食会場では、何が人気でしたか。

田形/日本館の飲食コーナーでは、天ぷらそばが一番の人気でした。ほかには、日本酒の試飲やメロンの試食も評判がよかったですね。糖度の高い日本のメロンのおいしさに、みなさん驚いていました。日本酒コーナーにはたくさんの人が集まっていて、関心の高さを実感しました。

39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)


≫続きを読む


同じカテゴリー(39.田形治さん)の記事画像
39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(2)
同じカテゴリー(39.田形治さん)の記事
 39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(2) (2016-04-14 12:00)
Posted by eしずおかコラム at 2016年04月07日12:00 | 39.田形治さん
削除
39.「手打ち蕎麦 たがた」主人/田形治氏(1)