45.公益財団法人 するが企画観光局/片桐優氏(2)

2017年11月28日12:00
今月の物語の主人公は・・・
公益財団法人 するが企画観光局 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサ-) 企画開発部長、地域連携戦略室長・片桐優(かたぎり ゆう)さん

45.公益財団法人 するが企画観光局/片桐優氏(2)
 京都大学大学院卒業後、マーケティングリサーチ業界国内最大手である株式会社インテージに入社。主に消費財メーカーの商品開発、マーケティング戦略立案プロジェクトに従事。新規サービス・事業の立ち上げや部長職を経て、平成26年、日本最大の料理レシピサイトを運営する、株式会社クックパッドに入社。クックパッドではトレンド調査室の責任者を経て、平成27年1月、広告事業のマネジメントを担当する広告事業部長職に着任。平成29年4月から現職に就任。

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※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史です。
※この記事は、全7回のインタビューのうちの2回目です。
≫第1回 静岡県中部地区の認知度の低さが浮き彫りに
≫第3回 人は「場所」と「できること」をセットで記憶する
≫第4回 首都圏の教育意識の高い30~40歳代の高所得世帯に向けて
≫第5回 お茶にまつわる体験の提供で高付加価値商品を開発
≫第6回 ソフト開発と人材育成がポイント
≫第7回 ヒト・モノ・カネのすべてにおいて投資意識を変える

・・・・・・・・・・・・・・・
|第2回 「どうすれば露出につながるか」を、最初から設計して組み立てる

海野
では、どうすれば96%の中に入れるのか?

片桐
アンケートでは、頭の中に思い浮かぶ候補地の5割以上が「口コミ」または「テレビ番組」によって形成されていました。つまり、目的地となる旅行先の上位は、自分から情報を取りにいってインプットされているのではなく、テレビや口コミなど、向こうから勝手に入ってくる受動的なメディアの影響力が強いんです。

海野
はい。

片桐
ということは、広告やプロモーションに費用をかけて、がっつり宣伝すれば大きな効果が期待できるわけではないということです。最近では「テレビは影響力がない」といわれることが多いですが、口コミのかなりの部分はテレビで取り上げられた話題だと考えると、今でもテレビの影響力は大きいと思います。

海野
たしかに、そう考えられますね。

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片桐
つまり、これからはパブリシティなどによるテレビでの露出を増やして、SNSで拡散していく、そんなことが必要なんじゃないですか。広告を打てばガツンと効果があがる、というものじゃないんです。

海野
いかにしてパブリシティでの露出を増やすか。

片桐
そうです。観光振興のための取り組みは、すべて露出につなげることが大事。これまでのイベントやいろいろな観光施策は、「実行する」ところまでしか考えられていなかったと思うんです。だから、いろんなことをやってきたけど、露出につながらず、頭の中にインプットできなかった。

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海野
イベントが無事に開催できて、翌日、新聞に取り上げられれば上出来。そんな認識だったかもしれません。

片桐
これからは「どうすれば露出につながるか」を、最初から設計して、施策を作っていくことが必要です。その点、「温泉ハイスタンダード!極楽地獄」をキャッチフレーズにPR活動をしている別府市は、とても上手だと思います。

海野
そうですね。

片桐
繰り返しになりますが、認知を高めるためには露出につなげなければいけません。それは、観光イベントだけじゃなくて、行政が手がける各種プロジェクトも同じだと思います。

海野
ええ。

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片桐
私が尊敬している方に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのマーケティングを手がけている森岡毅さんという方がいます。森岡さんは、ハリーポッターのプロジェクトを手がけたとき、まず「認知をここまで上げる」と目標設定しました。しかし、目標まで数値が上がらないと分かった時点で、自分で本を書いて自分自身がメディアに露出して、足りない数値を達成しようとしました。その考え方は素晴らしいと思います。

海野
目的と達成目標が明確。これなら施策がブレませんね。

片桐
藤枝市で進めている着地型観光プログラムの開発はすばらしいと思います。そのすばらしい取り組みを、全国の人に露出するには、さらに何が必要か、を考えることが大切です。せっせと商品開発したり、地道に品質改善に取り組んだりしていれば結果がでる、というものじゃないということです。

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海野
カンファレンスでは「ルート作成には雑誌等紙媒体も活用」という報告もありました。これはテレビやSNSで興味を持った人が、次に旅行ガイドブックなどで情報を入手するということですか。

片桐
もちろん、そういう場合もあると思いますが、ここでは『フィガロ』などの女性誌を想定しています。女性にとっての受動メディアである女性誌を狙っていきます。メディアは、紙媒体でもテレビでもなんでもいいんです。それよりも、ノンクレジットの状態で露出されることがポイントです。

海野
頭の中に記憶としてインプットされる露出の機会を作るということですね。

片桐
そうです。そうです。一過性のプロモーションでなんとかなるというものじゃないので、きちんと頭の中にのこる「目的地ブランド」を作らないとダメなんです。その上で、広告への投資やリスティングを継続して実施して、長い期間をかけて目的地ブランドを作っていくことが必要です。

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Posted by eしずおかコラム at 2017年11月28日12:00 | 45.片桐優さん
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