45.公益財団法人 するが企画観光局/片桐優氏(4)

2017年11月30日12:00
今月の物語の主人公は・・・
公益財団法人 するが企画観光局 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサ-) 企画開発部長、地域連携戦略室長・片桐優(かたぎり ゆう)さん

45.公益財団法人 するが企画観光局/片桐優氏(4)
 京都大学大学院卒業後、マーケティングリサーチ業界国内最大手である株式会社インテージに入社。主に消費財メーカーの商品開発、マーケティング戦略立案プロジェクトに従事。新規サービス・事業の立ち上げや部長職を経て、平成26年、日本最大の料理レシピサイトを運営する、株式会社クックパッドに入社。クックパッドではトレンド調査室の責任者を経て、平成27年1月、広告事業のマネジメントを担当する広告事業部長職に着任。平成29年4月から現職に就任。

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※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史です。
※この記事は、全7回のインタビューのうちの4回目です。
≫第1回 静岡県中部地区の認知度の低さが浮き彫りに
≫第2回 「どうすれば露出につながるか」を、最初から設計して組み立てる
≫第3回 人は「場所」と「できること」をセットで記憶する
≫第5回 お茶にまつわる体験の提供で高付加価値商品を開発
≫第6回 ソフト開発と人材育成がポイント
≫第7回 ヒト・モノ・カネのすべてにおいて投資意識を変える

・・・・・・・・・・・・・・・
|第4回 首都圏の教育意識の高い30~40歳代の高所得世帯に向けて

海野
どんな集客プランを検討していますか。

片桐
宿泊していただく場所は、テントやコテージなどの簡易的な施設を用意します。コアになるステーションは、周辺地域の使われていない、またはバリューを生み出していない既存施設をリノベーションして活用します。例えば、古くなった学校や廃業した温泉旅館とか。すでにインフラが整っている場所を再活用するんです。

海野
はい。

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片桐
ポイントは、こういう場所に来てもらい、親と子に、離れて過ごしてもらうことです。

海野
それは?

片桐
例えば、2泊3日の過ごし方としては、お子さんには2日間、みっちりと教育プログラムに参加してもらい、非日常の体験を提供します。その間、お父さんは「どうぞ仕事してください」と。お母さんには、ピザ作りや森林浴をしながら、ほかのお母さんたちとの交流を楽しんでもらいます。

海野
家族が別々に?

片桐
そして、最終日に子どもたちからお父さんやお母さんに向けて、「自分たちは2日間、こういうことを学びました」とプレゼンテーションします。そんなイメージです。

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海野
参加した家族が一緒ではなく、それぞれに楽しみながら過ごすことができるわけですね。

片桐
東京では、すでに学習塾などが旅行代理店を作って、このような体験プログラムを手がけています。基本的にはバスツアーで、連れていくのは子どもたちだけ。日帰りから宿泊まで、プランはいろいろです。工場体験や自然体験など、保護者から離れ非日常体験をして過ごします。時には、引率する先生が本気で叱ることも。で、帰ってくると、お子さんが成長したように感じるんです。

海野
ひとりで参加したお子さんに、両親は「ちょっとたくましくなったかな」と、うれしく思いますね。

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片桐
最近は、共働きで時間に余裕のない家庭も多いですよね。夏休みになると、お子さんが毎日家にいるわけです。”それなら”と、このような体験プログラムに参加させることで、お子さんは満足して帰ってくるし、親も子どもの成長を実感できます。そんなこともあって、とても人気があります。

海野
わかるような気がします。

片桐
いまの例は、お子さんだけが参加するプランですが、これに、家族で来ていただいて、お子さんには成長機会を、お父さんとお母さんにはリッチな保養を、同時に提供することを考えています。

海野
素敵ですね。

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片桐
親同士の交流を促すことは、マーケティング的にも重要なんです。クラブツーリズムというツアーは、最初はひとりで参加する方が多いのですが、ツアー中に参加者同士が連絡先を交換するなどしてつながって、次回は誘い合って複数人で参加するようになるそうです。それと同じことを考えています。お子さん同士が仲良くなってつながると、きっと親同士も引き合うようになるのではないでしょうか。

海野
このような教育体験プログラムに参加しようと考えるのは、同じような価値観を持った、あるいは関心事が似ている人が多いのでしょうね。

片桐
その通りです。2泊3日を基本プランとしながら、将来的には、春夏秋冬の季節ごとのメニューを用意して、4回をコンプリートすると成立するようなプログラムも開発できるんじゃないかと考えています。気候が温暖であることや、首都圏からのアクセスの良さなど、静岡であれば実現可能だと思います。

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海野
複数回参加してもらえれば、集客の安定化だけでなく、静岡のファンになっていただく確率も高くなりそうです。

片桐
先ほどお話ししたようなことを実現するとしたら、本来は宿泊施設もリッチな方がいいです。でもこの時代に、いまから豪華なリゾートホテルは建てられないですよね。リスクも取れないですし。

海野
たしかに。

片桐
そんな中で、最近流行っているグランピングという宿泊形態に着目しています。グランピングであれば、初期投資を抑えられますし、用意するテント数は、交流人口の増加に合わせて増やしていけばいいのですから。状況に合わせて柔軟に対応できます。

海野
はい。

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片桐
テントのワンランク上の宿泊施設としては、「無印良品の小屋」みたいな既製品を利用する方法もあると思っています。さらに「借りて泊まる」だけじゃなくて、何度も来てくれる方には、その場所を販売するという選択もあると思います。そして、コアになるステーションは、既存施設を再活用できれば。

海野
設備投資も、状況に応じて柔軟に対応できますね。

片桐
いずれにしても、巨大な投資をしないで、いまお話ししたようなモデルを、中部エリア5市2町のロケーションのいい場所に実現していきたいと考えています。

海野
地域に眠っている資源を上手に利活用することで、できることはたくさんありそうですね。

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Posted by eしずおかコラム at 2017年11月30日12:00 | 45.片桐優さん
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