今月の物語の主人公は・・・
大野仁志さん
今回ご登場いただいたのは、新静岡センターから徒歩5分ほどの北街道沿いの商店街で老舗カメラ店を営んでいる「大野カメラ店」のご主人、大野仁志さんです。ブログを始めてから地域の方とのネットワークが広がり、やりたかったことが少しずつ実現しつつあるようです。地元のお客さまにお店のことを知っていただき、興味のある人には来店していただく。そして再訪していただくきっかけを提供して、いつしかお店のファンに…。そんな取り組みが、地域で商売をされている方において共通の課題ではないでしょうか。大野仁志さんのお話の中に、お店のファンづくりのヒントがありそうです。
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OHNO CAMERA WORKS http://ohnocameraworks.eshizuoka.jp/
※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史です。
※この記事は、全2回のインタビューのうちの2回目です。 ≫1回目を読む
※この記事の内容は、取材時点の情報・インタビューにもとづいています。取材/2010年1月
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|お店でやりたかったことを、ブログを通じて実現
-〈eしずおかブログ〉のブロガーさんには、ご自身で商売をされている方もたくさんいます。ブログをビジネスに活かしたい、という思いは共通だと思いますが、大野さんの場合は、ブログはご商売に役立っていますか。
大野/わたしの場合は、かなりというか、ほとんどというか…、ブログをきっかけにお店でやりたかったことがずいぶんと実現できてきました。以前からお店は、ただ商品を売る場所というよりは、写真好きな方が気軽に集まることのできるコミュニティーの場になれればいいな、と思っていました。
新しい出合いがあったり、新しい友達ができたり、そしてその輪の中に、写真やカメラがあるようなイメージですね。そのな店づくりをしたかった。ブログをはじめてから、お店をリニューアルし、新しいお客さまとの出合いがあり、ワークショップ「LIFE with CAMERA」を立ち上げて、活動をブログで告知して、いろいろな方が集まってくれるようになりました。
大野/「LIFE with CAMERA」からは、フィルムカメラ好きなメンバーが中心になって写真部「とりこ」も立ち上がりました。そして「とりこ」のネーミングとロゴも、写真部に参加されているお客さま方が考案してくれました。そのように、ブログを媒介にしてリアルな活動に次々とつながってきています。お店をリニューアルした時に漠然と考えていた「これから、こうなりたいな」というお店の方向性が、ブログと上手くマッチしてひとつずつ実現できてきました。
2009年11月には、ギャラリーとレンタル暗室を完備したスペース(葵区駿府町)「とりこ」もオープンできました。「とりこ」という名前とマークも、先程お話ししたワークションプの参加者が、写真部「とりこ」用に考えてくれたものを、そのまま採用させてもらったわけです。
-ブログの情報発信がきっかけになって、お店の認知度アップだけでなく、実際に来店につながり、さらに、お客さまとお店、お客さまとお客さまのネットワークに広がってきているということですね。まさにネットとリアルが密接につながっている地域ブログならではの効果です。
大野/ワークショップでは、お客さまと一緒に写真を撮りに出かけ、帰ってから現像し、お店に写真を貼って、参加者みんなで写真を見ながらお話しする、というところまでできました。
いまはその先に、もっとやってみたいことが生まれてきました。ギャラリーというほど堅苦しい場所ではなく、写真仲間が気軽にが立ち寄れて、自分で現像ができて、仲間が撮影した写真を見て楽しめる場所があったらいな、という思いから、ギャラリーとレンタル暗室の「とりこ」が生まれました。
-そのような活動の中で、ブログはどのように活かされていますか?
大野/お店、写真好きの仲間、ワークショップ、白黒レンタル暗室、ギャラリー、それらの点と点を結んでくれたのがブログだと思っています。ブログがなければ、きっと無理でした。お店は地域のみなさんにまだまだ認知されていませんでしたので、お店だけで実現しようとしても難しかったと思います。
|地域ブログの魅力は、地域の人との出合い
-これから先、何か新しい企画を考えていますか?
大野/これまでは、写真を撮ることと、写真をきっかけにみなさんと楽しくコミュニケーションすることが中心でした。どちらかというとコミュニケーションツールの一つとして写真やカメラがある、という関係です。これからは写真自体に焦点を当てたい。写真の展示や企画展などを開催して、写真そのものをじっくりと楽しめるようなことをしたいですね。
-約1年半の間ブログを書き続けてきて、今一番印象に残っていることはなんですか?
大野/ワークショップに参加してくれた、西伊豆の方との出合いですね。はじめて開催したワークショプの時に、告知をブログにアップしたところ、すぐに「参加したいんですが」とコメントをくれたのが彼でした。トイカメラにとても詳しい方で、ご自身もトイカメラのワークションプの講師として全国で活躍しています。お店でも、それ以前からトイカメラを扱っていましたが、彼がトイカメラで撮影する写真が素晴らしくて、多くのことを教えていただきました。
-地域ブログならではのメリットは、どんな点にあると思いますか。
大野/「人との出合い」だと思います。ブログは、ウェブの世界の話と思われがちですが、地域ブログはウェブがきっかけになって、どんどんリアルの関係が広がっていきます。情報発信はネットかもしれませんが、新しいお客さまがお店に訪ねて来てくれたり、お客様同士がおつきあいを始めたり、地域ブログは日常の生活の中で新しいつながりを生むきっかけになっているのではないかと思います。
-大野さんの中で、ブログを書き続ける源泉はどこにありますか。
大野/最初は商売につながればと思って始めたのですが、今ではブログを書くこと自体が、生活の一部になっています。仕事が終わって、お店を閉めて、食事を終えて、それから写真を焼きながら、お店のパソコンに向かって、一日を振り返りながらブログを書いています。自分の写真を通してみなさんに何かが伝わればいいいかな、という感覚です。
-ブログを書き始めて、ご自身に変化はありましたか。
大野/わたしは写真を仕事にしていますが、以前はカメラを持ち歩くという習慣はありませんでした。ブログを始めて一番変わったことは、常にカメラを持つようになった。ブログにいい写真を載せたいというのが理由ですが、そのことで、以前は見過ごしていた日常のささやかだけど美しい風景に、気づくようになりました。雨上がりの水たまりに映っている風景を見て美しいと感じたり、家の階段から見える夕焼けに染まった街の風景に見とれたり…、モノの見方が変わってきた。感性が豊かになった気がします。
-ブログを書き続けてきて、ネガティブなコメントを書き込まれたりしたことはありますか?
大野/対応に困るようなコメントを書き込まれたことは、一度もありません。地域ブログは、実際にお互いの顔が見えるからだと思います。
-最後に、これからブログを始めたいと考えている方に、アドバイスをいただけますか。
大野/ブログは、簡単に始められるということをお伝えしたい。それに、ブログを書くということは、日々の生活の中で感じたことを振り返って、整理して、言葉に置き換えることでもあります。ブログをはじめると、きっと日常生活が豊かになると思います。地域ブログは、アクションをおこせばすぐにリアルになることも魅力です。まずは、気軽にやってみることをおすすめします。
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-地元のお客さまにお店のことを知っていただき、興味のある人に来店していただく。そして再訪していただくきっかけを提供して、いつしかお店のファンに…。地域ブログを使って、そのような取り組みを実践している大野さんのお話を、ぜひみなさんも参考にしてみてください。