今月の物語の主人公は・・・
「しろくまジャム」・武馬千恵(たけま ちえ)さん
【プロフィール】
1980年、愛知県名古屋市生まれ。エコールキュリネール国立辻フランス料理専門カレッジ卒業後、フランス料理専門店に勤務。その後、青年海外協力隊に参加し、カリブ海 セントビンセント及びグレナディーン諸島で村落開発普及員として活動。2010年に帰国後、JICA静岡県デスク 静岡県国際協力推進員として勤務。2014年から、手づくりジャムの販売開始。2015年6月、葵区鷹匠一丁目に「しろくまジャム」オープン。
◆「しろくまジャム」公式ホームページ
◆「しろくまジャム」facebook
※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全3回のインタビューのうちの1回目です。
≫インタビュー2回目はこちら
≫インタビュー3回目はこちら
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2015年6月、静岡市葵区の新静岡セノバ近くの北街道沿いに「しろくまジャム」という、かわいいお店がオープンしました。静岡県内で生産された果物を使った「ジャム」のお店というだけでなく、中山間地の情報発信基地としてさまざまな取り組みを始めています。今回は、人気の「ジャム」のお話のほか、静岡県内の中山間地活性化の取り組みについてもお聞きしようと“中山間地と市街地をつなぐ案内役”である、オーナーの武馬千恵さんに会いにいきました。起業して半年、武馬さんが当初描いていたことは実現しつつあるのでしょうか。
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|「きっかけ」をつくるためのジャム
-今日は、「しろくまジャム」というお店のこと、それから武馬さんが仕事を通して実現しようとしていることについてお聞きしたいと思ってきました。
武馬/よろしくお願いします。
-はじめに、お店を紹介していただけますか。
武馬/手づくりジャムの販売を中心に、静岡県内の山と海の商品の販売、それからカフェを営業しています。お店のテーマは“静岡の中山間地の情報発信”です。ジャムなどの販売は、中山間地のことを知っていただくための手段として考えています。
-ジャムの特徴は?
武馬/ジャムは、果実がたくさん入った食べるタイプのジャムです。100%ではありませんが、静岡県内の旬の果物をメインに、北海道産のてんさい(ビート)からつくられるビートグラニュー糖を使って、無添加で作っています。
-何種類ぐらいありますか。
武馬/平均して6~8種類ぐらいですね。ジャムの種類は、季節ごとに変えています。ジャムは保存ができるのでたくさんの種類をつくることもできるのですが、お客さまが来店されるたびに、その季節のものを使ったジャムを発見していただけると楽しいんじゃないかと思って、旬の果物のジャムを中心に揃えるようにしています。
-それも、一年を通じて中山間地を知ってもらうきっかけにつながるわけですね。
武馬/そうですね。ジャムに使用した果物の産地のことを紹介しながら販売することで、お客さまには、商品を通じて静岡県内の中山間地に関心をもっていただきたいんです。
|ちょっとオシャレな静岡のお土産の提案
-山や海の商品には、どんなものがあるのですか?
武馬/山のものは、お茶関係の商品が多いです。珍しいところでは、静岡市の玉川地区で作られた和紅茶があります。静岡市内では丸子の紅茶が有名ですが、玉川でも26歳の若い生産者さんが新しい試みとして紅茶を作っています。緑茶は価格が低迷していて収益面できびしいため、紅茶にチャレンジしたのだそうです。「初めて作った紅茶を試しに売ってみたい」というので、少しお預かりしてお店に出しています。
-「しろくまジャム」のお客さまがお店で玉川紅茶を見つけることが、街に暮らす人と中山間地でがんばっている生産者さんとの出会いにつながるわけですね。
武馬/海のものには、「ヤイヅカツオサラダ」があります。これは島田市の海産物屋さんがプロデュースしている、かつおとチーズのオリーブオイル漬けです。ヤイヅカツオサラダは、わたしの予想以上に売れています。珍しいお土産として買われる方が多いです。
-ヤイヅカツオサラダは、ぼくもはじめて知りました。珍しいものだと、お土産を受け取る相手の反応が楽しみになりますし、ここから焼津や静岡のことなど、会話が広がりそうです。
武馬/静岡のお土産は固定化されちゃっていますよね。当店には、駅や百貨店などの定番の店舗では扱っていない静岡の新しいものを探しにくるお客さまが多くて、そのようなお客さまは、ちょっとオシャレで珍しい静岡の商品をお土産に買われていきます。
|街中のかわいいお店には?
-どんなお客さまが多いのですか。
武馬/30代の女性、それと50代の女性が多いです。
-想定どおりでしたか。
武馬/お店を始める前の一年ほど、イベントなどに出店して試験販売をしていました。その時のお客さまがちょうどその層でした。それから、ランチタイムはやはり女性が多いです。
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