今月の物語の主人公は・・・
シズオカオーケストラ・井上泉(いのうえいずみ)さん
静岡生まれ。静岡育ち。2010年より、"静岡"をテーマに様々な人が集う「グリーンドリンクス静岡」を主宰。2014年春、プロジェクト「シズオカオーケストラ」を企画。
◆ウェブマガジン「シズオカオーケストラ」
※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全5回のインタビューのうちの4回目です。
≫井上さんのプロフィールと1回目のインタビューはこちら
≫インタビュー2回目はこちら
≫インタビュー3回目はこちら
≫インタビュー5回目はこちら
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|自分にできることはなんだろう
-ところで井上さんが、町系の地域活動に関心を持ったきっかけを教えていただけますか?
井上/きっかけは、ふたつあります。ひとつは、母校でもある青葉小学校の閉校と、七間町の映画館の閉館。校舎を取り壊すという噂を聞いて「誰が決めたんだろう」と素朴に疑問をもったんですよね。
-ええ。
井上/まだ使える校舎を壊すなんて。壊すくらいなら屋上のプールを飲食店として開放したらどうなんだ、とか。「そもそも誰がこの町を動かしているんだろう」ってね。いろいろ考えたりして(笑)。そこからまちづくりに興味をもちはじめました。
-身近なところにきっかけが…。
井上/いつまでもそこにあると思っていた自分にとって身近な施設が、ある日無くなっていく場面に遭遇して、ものごとは常に移り変わっていくということに気づいたんです。
町の姿も、そこに暮らす人も変わっていくんですね。小学校の閉校や映画館の閉館で変わっていく町の様子を実際に眺めながら、自分にできることはなんだろうという気持ちが生まれてきました。
-自分ごととして考えるようになった?
井上/それこそ一番最初は、そういった気持ちを「eしずおかブログ」で綴ることから始めたんですよ!
-そうだったのですか。地域ブログの運営者としては、とてもうれしいです。
|おばあちゃんの記録を写真と文章で残すことができた
井上/ブログを始めて、しばらくたった頃「シズオカ×カンヌウィーク」を立ち上げようとしている鈴木さんに出会い、イベントのお手伝いをしていく中で「グリーンドリンクス」を静岡でやってみれば、と声をかけられたんです。
最初は「ムリムリ、わたしはそんな器じゃないから」って答えたんですが、「立場が人を作るから、やれやれ」って説得されて。
-そこから始まったんですね。鈴木さんのひとことは、大きかったですねぇ。
井上/もうひとつ、自分にとって大きかったのは、伝馬町にあったモグサ屋さんのおばあちゃんの存在。
-モグサ屋さん?
井上/はい。お灸のモグサを売っていたお店が伝馬町にあるんです。おばあちゃんがひとりでお店をきりもりしていたころに、取材したことがあって。
-伝馬町にモグサ屋さんがあったなんて、いままで知りませんでした。
井上/その取材で、おばあちゃんのモグサへの思いや、おばあちゃんだけがもっていたモグサを細~く撚る技術についてのお話を聞けたことがすごくうれしかった。
-はい。
井上/それからしばらくして、おばあちゃんが交通事故で亡くなってしまって…。おばあちゃんはいなくなっちゃったけど、あんなに素敵なおばあちゃんの記録を写真と文章で残すことができた。その体験も大きかったです。
-井上さんの記事がなければ、おばあちゃんのことは、身内の方の記憶にしか残らなかったかもしれない。
|どんどん変わっていく町を、書き留めていきたい
井上/町はいまもどんどん変わっていくし、循環していくものなのですけど、わたしはそれをコツコツ書き留めていきたい。
-これは長いプロジェクトですね。
井上/そうです。すでに隠居部屋をもらった感じですよ(笑)。
-32歳で、もう隠居部屋(笑)。
井上/ははは…(笑)
-いい仲間にも恵まれて。「シズオカオーケストラ」は、井上さんのライフワークになりそうですね。
井上/はい。
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