34.AOI Brewing/満藤直樹氏(1)

2014年11月20日12:00
今月の物語の主人公は・・・
「AOI Brewing」・満藤直樹(まんどうなおき)さん

34.AOI Brewing/満藤直樹氏(1)
 大阪府出身、44歳。土木建築関連会社に勤務していた16年前に静岡県に赴任。静岡の地が気に入り、2001年に飲食店経営に転身。2009年ビア・バー「グローストック」、2013年「アオイビアスタンド」開店。2014年6月、手作りビール醸造所「AOI Brewing」(アオイブリューイング)を開設し、念願の自社ブランドビール「AOI BEER」の生産・販売を開始。2014年10月20日、アオイブリューイング併設のレストラン「BEER GARAGE」(ビアガレージ)をオープン。

「AOI Brewing」(アオイブリューイング)

◆「BEER GARAGE」(ビアガレージ)
住所:静岡市葵区宮ケ崎町30番地
電話:054-294-8911
火曜休/平日:17:00~23:00、
土曜:15:00~23:00、日曜:15:00~22:00


※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全2回のインタビューのうちの1回目です。
≫インタビュー2回目はこちら

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 静岡浅間神社の門前町である静岡浅間通り商店街裏手の醤油蔵を改装した、静岡市初の地ビール醸造所「AOI BEER(アオイビール)」がオープンした。醸造所を開設したのは市内の飲食店経営・満藤直樹さん。醤油蔵は1863年(文久3年)創業の老舗の醤油醸造元「安本酒醤油店」の所有で、近年は蔵として使われなくなっていた。地ビール造りに適した場所を探していた満藤さんが醤油蔵を見つけ、静岡ゆかりの徳川家の家紋を名称とトレードマークにして、AOI BEERがここに誕生した。空き店舗が目立ち、集客に知恵を絞る浅間通り商店街活性化に、地ビールが起爆剤になるのではと期待を集めている。満藤直樹さんにお話をお伺いしました。
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|静岡県中部初の地ビール

-地ビール醸造所「AOI Brewing」(アオイブリューイング)の開設、それから「BEER GARAGE」(ビアガレージ)のオープン、おめでとうございます。

満藤/ありがとうございます。

-静岡市初のクラフトビール醸造所ですね。

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満藤/そうですね。静岡県の東部と西部にはありましたが、中部地区では初めての地ビールになります。

-さっそくですが、「AOI Brewing」(アオイブリューイング)のビールの特徴を教えてください。

満藤/今造っているのは、ペールエール、スタウト、シシリアン・アンバー、インディアン・ペールエール、ゴールデンエールの5種類。ぜんぶ違う味ですが、すべてエールビールです。

-それぞれ、どんな特徴があるのですか?

満藤/ペールエールはイギリスの代表的なビールで、麦芽の甘味とホップの苦味のバランスの滑らかさが特徴です。スタウトはモルトの甘みを引き出した黒ビールで、見た目よりも軽く飲みやすい。シシリアンアンバーはアルトスタイルで、デュッセルドルフあたりでよく飲まれています。

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出荷を待つビールの貯蔵庫。ここから樽を各店舗に配送し、新鮮な状態でお客さまに提供する


満藤/インディアンペールエールは、昔、植民地だったインドに向けてイギリスから船で運ぶ際、輸送中に腐らないようホップとアルコール度数を極端に上げたところから名付けられました。ゴールデンエールはラガービールに似た金色をしていますが、苦みは抑えめで、さわやかでフルーティーな味が特徴です。


|味わいや色合いも楽しめる個性的なビールを提供したい

-同じビールでも、それぞれ個性的ですね。ところで、エールビールというのは?

満藤/ビールは、ラガービールとペールエールの二つの種類に分かれます。大手のビールメーカーさんが造っている金色のビールは、ほとんどがラガービールです。エールビールは、大麦麦芽を原料にして、上面発酵酵母を使用し、高温(20℃前後)で発酵させて造ります。エールの特徴は、麦芽の甘味と香ばしさ。アルコール度数は高めで泡は少なく、味はフルーティー。食事と一緒にじっくり味わいながら飲むのに適しています。

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アオイビールの製造工程を説明する満堂直樹社長(右手)


-カンパイ!して一気飲みするビールとは違う?

満藤/それがラガービールです。ラガーも原料は同じですが、下面発酵酵母を使用して、低温(10℃前後)で長時間かけて発酵させて造ります。ラガーの特徴は、苦みと爽快なのど越し。日本ではおなじみの、よく冷やして飲むタイプです。

-「とりあえずビール!」のビールですね。

満藤/そうです。日本はこれまでラガービール一色でしたが、ぼく自身は、味わいや色合いも楽しめる個性的なビールを提供していきたいと思っています。ですから定番のビールに加えて、季節にあわせたビールも造っています。この季節は12月のクリスマスに向け、アルコール度数が9度程のどっしりとしたビールを仕込んでいます。

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-クリスマスの季節は、どっしりしたビールが合うのですね。


|醸造責任者とのコンビネーションで決まる味

-ところで、ビールの味はどのように決めるのですか。

満藤/ビール造りで味や品質を決める重要な仕事を担うのは、醸造責任者です。ビール造りを始めるにあたり、熊本県から醸造責任者として高(たか)浩一さんという方を招きました。ぼくのイメージを醸造責任者の高さんに伝えて、イメージを確認し合いながら、高さんがその味をビールで表現していく。ふたりのコンビネーションが大事なんです。

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次のビールの仕込み作業中の高浩一さん。約1ヶ月後に新しいビールができ上がる


-高さんは、海外の地ビールコンテストでも数々の受賞歴がある有名な方だと伺いました。

満藤/高さんは、日本でもよく知られた地ビール醸造所で12年にわたって醸造責任者を務めた、高い技術を持った方です。アメリカやドイツ、イギリスをはじめ、国内外のコンテストで何度も受賞しています。ビールが大好きで、ビールに対する愛情と知識は人並み外れた人。高さんに出会えたことは、ほんとうにラッキーでしたね。

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満堂社長(左手)のイメージを、醸造責任者の高さん(右手)が味で表現する。ふたりのコンビネーションが大切



|理想のビールを自分で造ってみたい

-満藤さんは、いつごろからビールに興味を持ち始めたのですか。

満藤/2007年に、静岡市内のチェリービーンズというお店を引き継いだのが、飲食店を経営するきっかけでした。飲食業は素人でしたが、レシピも運営もそのまま引き継げるということで、おもいきってこの世界に飛び込みました。

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満藤/最初は、教わったとおりにやっていたんですが、少しずつ自分の思うようにやってみたいという欲が出てきて、看板メニューのハンバーガーをさらに本格的な味に変えたり、海外のビールを集めたり…、いろいろ工夫や努力をしてみたんです。その時、瓶ビールでしたがはじめて世界各国のビールを扱いました。海外の個性的な味のビールを知り、料理に合わせて選ぶ楽しみを発見して、はまっていったんです。

-そうでしたか。

満藤/2009年には、世界のビールを扱うビア・バー「グローストック」を開店しました。そこでは、世界のビールでも生で楽しめるように、ドイツやベルギー、アメリカなどから珍しいビールを樽で輸入しました。さらに深く地ビールにのめり込むうちに「いつか、理想のビールを自分で造ってみたい」と思うようになったんです。

-そこからは一気に?

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満藤/いえいえ、実際には着想から2年かかりました。設備投資にかかる資金、酒造免許の取得、地ビールを造れる醸造家…。実現しようとすると、あらゆる面で問題が目の前に現れて、それをひとつずつ解決していって。問題がすべて消えるのに2年かかったわけです。

-その期間は想定範囲内?

満藤/そうですね、思いのほか早く酒造免許を取得できたことは大きかったと思います。免許取得では販売計画が重視されるんです。造るだけでなく、実際に売る力があるか。そこの裏付けが問われるのですが、ウチの場合は自社の直営店で、消費する年間消費量が予測できたところがよかったようです。

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満堂直樹社長(左手)とアオイビールの醸造責任者・高(たか)浩一さん(右手)。

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Posted by eしずおかコラム at 2014年11月20日12:00 | 34.満藤直樹さん
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