今月の物語の主人公は・・・
インターセクション・金澤実幸(かなざわ みゆき)さん
1967年清水市(現・静岡市清水区)生まれ。磐田市在住。高校卒業後上京、落語ファンとなる。東京と静岡で電機メーカー・広告代理店・新聞社などに事務職として勤務後、2006年鈴木拓利と『静岡落語往来』を創刊、インターセクションを立ち上げる。2015年に誌名を『東海落語往来』に変更、静岡・愛知を中心にした落語会情報を紙媒体とwebで発信中。
◆東海落語往来 HP
※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史です。
※この記事は、全4回のインタビューのうちの4回目です。
≫第1回 ファンと運営者と落語家さんの三者を結ぶ情報誌
≫第2回 語りだけで感情をつかみ心を動かす落語の力
≫第3回 自分が一番知りたかった地元の落語会情報
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|第4回 落語会の記録を後世に。
- 海野
- 初心者でも気軽に出かけられる落語会はありますか?
- 金澤
- 初心者向きと銘打って開催している落語会は少ないですが、誰でも入りやすい会はあります。商店街のような公共性のある団体が主催する落語会は誰でも歓迎していますし、「親子で楽しむ落語会」など、タイトルに家族向けであることを掲げている落語会もおすすめです。
- 海野
- 主催者やタイトルが参考になるわけですね。
- 金澤
- そうです。春風亭昇太師匠や林家ぼたんさんなど、県内出身の落語家さんなども、きっかけとしてはおすすめです。それから、テレビで見たことのある落語家さんなど、なにかしらとっかかりのある人を手がかりに聞いてみるのがいいんじゃないでしょうか。
- 海野
- 静岡県内出身の落語家さんは、興味を持ちやすいですね。
- 金澤
- 県内出身で大ベテランの落語家・瀧川鯉昇師匠は、御殿場市、富士宮市、静岡市、川根町にある温泉施設「時之栖」で毎月落語会を開いているので、おすすめです。鯉昇師匠を中心にしたベテランと若手の落語を一時間ほど楽しめます。
- 海野
- 温泉に入って落語を聞く、とても贅沢ですね。ところで、地方で落語会を主催する人はどんな人ですか?
- 金澤
- そうですね、落語好きが高じて主催するようになる個人の方、飲食店の経営者など落語会の会場になる場所を持っている落語ファン、それから最近では商店街が街おこしのために落語会を開くこともあります。
- 海野
- 個人や店主さん、商店街など、主催者はさまざまなんですね。
- 金澤
- はい。でも、会場費や出演料などの費用を工面して、集客のためのPR活動に、当日の受付や会場運営など、やらなければいけないことがたくさんあるので、一人で落語会を開くのは難しいと思います。
- 海野
- 最初の1回は開くことができても、継続して開催するとなるとなおのこと…。それでも落語会を開いてみたいという人に、アドバイスをいただけますか?
- 金澤
- 落語会を開こうという方は、落語好きな方がほとんどだとは思いますが、まずは、自分が開いてみたい落語会と同じくらいの規模(お客さまの数や会場の大きさなど)の落語会に足を運び、できるだけ多くの高座を見聞きするのをおすすめします。直接会場で見聞きしないとわからないことも多いですし、運営などについても参考になることが多いと思います。
- 海野
- とにかくたくさんの落語会に出かけてみることですね。
- 金澤
- はい。
- 海野
- 最後に、『東海落語往来』としてこれから実現したいことはありますか。
- 金澤
- そうですね、地元で開かれている落語会の記録を後世に残していきたいです。地方の落語会の活動情報は、ほとんど記録に残っていません。静岡県と愛知県で、いつ、どこで、誰が、どんな演目を演じたのか。『東海落語往来』が、落語会の記録を後世に残す役割となれたらうれしいです。
◆インターセクション・金澤実幸さんへのインタビュー/完