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45.公益財団法人 するが企画観光局/片桐優氏(6)
2017年12月05日12:00
今月の物語の主人公は・・・
公益財団法人 するが企画観光局 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサ-) 企画開発部長、地域連携戦略室長・片桐優
(かたぎり ゆう)さん
京都大学大学院卒業後、マーケティングリサーチ業界国内最大手である株式会社インテージに入社。主に消費財メーカーの商品開発、マーケティング戦略立案プロジェクトに従事。新規サービス・事業の立ち上げや部長職を経て、平成26年、日本最大の料理レシピサイトを運営する、株式会社クックパッドに入社。クックパッドではトレンド調査室の責任者を経て、平成27年1月、広告事業のマネジメントを担当する広告事業部長職に着任。平成29年4月から現職に就任。
◆
公益財団法人 するが企画観光局 公式ホームページ
◆
公益財団法人 するが企画観光局 公式フェイスブック
※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史です。
※この記事は、全7回のインタビューのうちの6回目です。
≫第1回 静岡県中部地区の認知度の低さが浮き彫りに
≫第2回 「どうすれば露出につながるか」を、最初から設計して組み立てる
≫第3回 人は「場所」と「できること」をセットで記憶する
≫第4回 首都圏の教育意識の高い30~40歳代の高所得世帯に向けて
≫第5回 お茶にまつわる体験の提供で高付加価値商品を開発
≫第7回 ヒト・モノ・カネのすべてにおいて投資意識を変える
・・・・・・・・・・・・・・・
|第6回 ソフト開発と人材育成がポイント
海野
非常にわかりやすくお話ししていただきました。いまお話ししたことを実現していくには、ソフトをどう作っていくのかがポイントになりそうです。もうひとつは、人材育成でしょうか。
片桐
そうですね。最初の軸でいえば、どういう教育コンテンツを作るか、ということですよね。多様な自然を生かした体験プログラムであり、かつ、エスタブリッシュメント志向の親御さんの期待を満たして、「子どもに体験させたいな」と思わせるプログラムをどう開発するか、です。
海野
プロジェクトの軸になる大事な部分です。
片桐
まずは、親御さんがいま求めている教育や教養をわかっている、ナショナルブランドのノウハウを取り入れていきます。
海野
はい。
片桐
地域の資源でどういう学びができるか、については、地域の方が一番よく知っているはずなので、そこは、地域の方と一緒に作っていきたいと考えています。目標とする品質基準については外部の事業者から学んで、それに向けて自分たちは何ができるのかを考えていきたいです。
海野
具体的には?
片桐
2018年度は、中部地区全体をいくつかのエリアに分けて、キャラバンのように、大きなワークショップを開いていきたいと考えています。
海野
ええ。
片桐
この地域のアドバンテージは、藤枝の「おんぱく」が町おこしやシティプロモーションとして、すでに成果を上げていて、住民参加型でプログラムを作っていくことにポジティブな機運があること。
海野
なるほど。
片桐
2018年の4月または5月ごろから、ラーニング・アクティビティを作るワークショップを開催したいです。そのときには、プログラミング教室を運営できるベンチャー企業など、外部の事業者さんにも入ってもらおうと検討しています。
海野
外部と連携することで、これまでにないプログラムが実現できそうです。対象エリアはどのあたりを想定していますか?
静岡市葵区井川
片桐
自治体の区分と観光ルートは、まったく関係ありません。いま考えているのは、葵区の井川や川根本町などの手つかずの自然が残っているネイチャーエリア、牧之原台地のティーエリア、海側のシーエリア、ターミナル機能として静岡市の中心市街地と藤枝市、焼津市の一部エリアです。
海野
はい。
片桐
また、静岡市の両河内はティーエリアですが、同じティーエリアでも、牧之原台地と両河内での違いを考えることで、地域ごとの個性を再認識するいい機会になればと思っています。それぞれのエリアでどういうことができるのか、これから地域価値の開発を考えていきたいです。
海野
今回の調査結果を関係各所に報告されていますが、反応はいかがですか。
片桐
非常にいいですね。具体的な課題が浮き彫りにできたことと、対策として、パブリシティを狙っていこうという手段も明確ですし、戦略的な方向性も理解していただけていると受け止めています。
海野
夢の吊り橋で実証実験をされた、観光振興におけるIT活用についても何か考えていますか。
片桐
いろいろ考えています。島田市のICTコンソーシアムとは、観光とICTを組み合わせて実証実験をおこなう予定です。
海野
どのような?
片桐
回遊促進の施策では、すでにいくつかの自治体で周遊アプリを使って観光客を回遊させる取り組みを始めています。でも、それで効果がでるのは、京都などのブランド力のある観光地だけです。周遊アプリ内の観光ポイントが知られていない場所や施設ばかりの観光地では利用されないのではないでしょうか。
海野
そうですね。
静岡市葵区足久保地域
片桐
使ってもらうためには、周遊させる動機づけをしなければいけません。そこで今考えているのは、ビーコンや位置情報の活用です。
海野
近づくと、向こうからスマホに情報が飛び込んでくるシステムですね。
片桐
そうです。ポイントは、表示されるコンテンツです。「ここにこんなお店があって、少し安くなるよ」みたいな、プロモーショナルな情報ではダメで、もっとコンテンツ価値の高い情報を流す必要があります。
海野
ええ。
片桐
たとえば、磐田周辺のハンバーグで有名なレストラン“さわやか”の近くをドライブしているときに、カーナビから長澤まさみさんの声で「わたし“さわやか”で食べたいな!」と、聞こえてくるとか。それをスマホでやってみるとか。
海野
それは楽しそうです。
片桐
実際には芸能人はコストがかかるので、別のアイデアを使って周遊させることになりますが、そんな実証実験を検討しています。
海野
技術的にできることは増えてきますが、それを使って、どのように人を動かすのか。ソフトが重要になりますね。
片桐
ソフトがつまんないと人は動かないですから。
島田市・蓬莱橋
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