23.作業療法士・菅原洋平氏(3)

2013年09月30日12:00
今月の物語の主人公は・・・
作業療法士 菅原洋平さん

23.作業療法士・菅原洋平氏(3)菅原洋平(すがわら・ようへい)。青森県生まれ、静岡県育ち。作業療法士。ユークロニア株式会社代表。
 国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許を取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構にて、脳のリハビリテーションに従事。脳の回復には、睡眠が重要であることに着目して臨床実践をする。また、障害者の復職支援を行う中で予防の必要性を強く意識する。
 病気予防を面白く魅力的にするため生体リズムを活用して企業の業績を高めるビジネスプランを作成し、SOHOしずおかビジネスプランコンテストにて最優秀賞受賞。その後、ユークロニア株式会社を設立。企業を対象に生体リズムや脳の仕組みを使った人材開発を行う。著書に、『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『やる気がでる!超睡眠法』(宝島社)、『誰でもできる!「睡眠の法則」超活用法』(自由国民社)、『「いつも眠い~」がなくなる 快眠の3法則』(メディアファクトリー)。

◆会社HP ユークロニア株式会社
◆ブログ 作業療法士 菅原洋平の生活術
◆【日刊いーしず】連載 「脳の仕組みを知ればもっとうまくいく! クセ活用術」

※インタビューの聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全3回のインタビューのうちの3回目です。
≫1回目はこちら  ≫2回目はこちら


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|クセには必ず意味がある。生活すべてが治療に使えます

―【日刊いーしず】の連載「クセ活用術」が始まりました。この連載で、読者に伝えたいことは?

菅原/「生活しているだけで元気になる」ということです。

―なんだか魔法みたい(笑)。

菅原/“人間の生活すべてが治療に使える”というのが、作業療法の基本的な理論なんです。生活の中の行為が、自分の脳にどういう作用を及ぼしているのかを理解して、行動すること。ちゃんとやるべきことを、ちゃんとやる。ちゃんとやらなくていいことには、余分なエネルギーをつかわない。それらを整理するだけで、同じ生活をしていても、脳への作用は変化するんです。それをお伝えしたい。

23.作業療法士・菅原洋平氏(3)
菅原さんが執筆する連載コラム。実際の人物に取材をして生活習慣や考え方を
ヒアリングし、その人の脳がどんな働きをしているのかを解き明かしていく


―誰でもその日から実践できそうですね。

菅原/新しい提案をしているわけではないのに、なんだか元気になったり、自分の生活が違って見えてやる気が湧いてくる。そんなことを知っていただきたい。それらを、おもしろく、リアリティを持ってお伝えしたいと考えています。

―ますます楽しみになってきました。ところで、そもそもクセとは何ですか?

菅原/脳が足りないと察知した物質を補うために、いまこれをやってください、という命令が行為に現れたものです。

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―同じ行為でも、無意識に行う場合と、自覚的に行う場合で、アウトプットは違うのですか。

菅原/違います。脳の情報の入口は複数ありますが、出口はひとつですから。

―入口と出口?

菅原/入口は五感ですね。視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚。そして、出口はすべて運動として現れます。入口に変化があれば、出口も変わります。感覚には、受動的なものと能動的なものがあって、例えば視覚では、前者は“見えてしまったもの”、後者は“自分から見たもの”。能動的なものは、見たくて見にいく、見たらどうなるかある程度予測を立てている。一方、受動的なものとは、予想外のことを見てしまう状態、つまりエラーともいえます。

―エラーと聞くだけでストレスになりそう。ということは、「クセ活用術」のモデルになった人物がこれを読めば、無意識に行っていた受動的な状態が能動的な行為に変化するということですね。

菅原/はい。コラムを読んだ後、本人のアウトプットに変化が起きるはずです。

―コラムの登場人物に似た社員に読ませて、どんな変化が起きたか聞いてみます(笑)

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|体のリズムと社会のリズムを調和させていきたい

―菅原さんの今後のビジョンを教えていただけますか。

菅原/いまは睡眠に関する事業が中心ですが、それは一般の人にわかりやすく、最小手数で最大効果が発揮できるから。睡眠事業はひとつの柱として続けながら、もうひとつ、個々の脳の特徴や、男女の脳の違いを知ることで組織作りやマネジメントに活かす事業をしていきます。三つ目は、時間医学の分野です。たとえば、わたしたちの肝臓は14時に働くということがわかっている。手術の時刻というのは、現状では手術スタッフのスケジュールで決まるわけですが、手術をするなら14時に行うのがもっとも回復が早いし、医療スタッフの手数も減らせるはずなんです。

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―そういった考え方があるのですね。

何時にどんな業務を行うのがもっとも生産性が上がるのか、という発想ですね。つまり生体リズムと社会のリズムを調和させると、病気予防にもなるし、仕事のパフォーマンスも上がる。時間医学の分野ではそのような考え方を“ユークロニア”と呼んでいて、わたしはそれを社名にしています。10年先になるかもしれませんが、ぜひ取り組んでみたいです。

―今日は、ありがとうございました。連載コラム「クセ活用術」も楽しみにしています。最後にひとつお聞きしたいのですが、菅原さんは睡眠で悩んだ経験はあるのですか?


菅原/もちろんです。小学生の頃から眠れない子どもでした(笑)。問題を解決する良い方法は、実際に問題を抱えている中から生み出されると思います。不眠やうつ病が増えている今の日本にこそ、パフォーマンスを高める良い方法を生み出すチャンスがあるはずです。

(12人目 菅原洋平さん・了)

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Posted by eしずおかコラム at 2013年09月30日12:00 | 23.菅原洋平さん
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