今月の物語の主人公は・・・
片 桐 義 晴 さん
※このインタビューは、全3回のうちの2回目です。
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片桐氏(左)と、聞き手・海野氏(右)
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◆プロフィール
片桐 義晴 (かたぎり よしはる)
1959年生まれ。1983年大学卒業後、情報誌出版社入社。1988年12月同社退社。1989年5月フリーのコピーライターとして独立、現在に至る。ラジオCM、ポスター、新聞広告、パンフレット等のコピーライティングから雑誌等の取材原稿など幅広く手がけている。静岡新聞広告賞2004 奨励賞、静岡県CMグランプリ ラジオ部門優秀賞、静岡新聞広告賞2011 大賞等を授賞。静岡コピーライターズクラブ会員
・静岡コピーライターズクラブ
http://www.shizuokacc.com
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撮影:大塚光一郎
(このインタビューは、2012年8月30日に行われました)
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(承前)
|コピーが地域を元気にする、ということ
―今年の「コピー大賞」も公募(募集期間:2012年9月1日~10月31日)が始まりました。これから忙しくなりますね。
片桐/ コピー大賞の運営は、やっぱり大変です。とくに、お金のことがね。協賛金集めとか。(イベントを)やりましょう、やりましょうとみんな言うけど、ビックリするくらい動かないから(笑) でも、それは当たり前のこと。うれしいのは、しずおかコピー大賞の協賛金を集めるためにおつきあいのある企業にお願いに行くと、どの企業もOKしてくれること。これも20年間の自分の仕事の実績かなぁと感じました。
―ご自分の仕事の合間に、協賛金集めも率先して動いていましたね。
片桐/ イベントのポスターやフライヤーのデザインも、知り合いのデザイナーがボランティアで気持ちよく協力してくれました。これまでの仕事を通じて、自分にはこんなにネットワークがあったんだと実感しました。本当にありがたいです。
―「コピー大賞」の目的の一つに「コピーのチカラによって地域を元気づけること」という項目がありました。過去2回開催してきて、手応えはありますか。
片桐/ これは厳しい質問。率直にいって、達成できているとは思えません。
―でも、応募数は多かったですよね。
片桐/ 応募してくれた人たちは、テーマにあげていた「新聞」や「富士山」のことを自分なりに考えてくれたと思います。でも、そこから先のアウトプットが、まだできていない。
―アウトプットとはどんなことですか?
片桐/ 主催者側としては、受賞したコピーが企業(協賛社)に採用されて、広告コピーとして地域の多くの人の目に届くところまでいけたらいいなと思っています。具体的には、そのコピーが企業のポスターや新聞広告、ラジオ広告などに使用されて、地域の消費の現場で機能させるところまでもっていきたい。富士山のコピーであれば、富士山の日のポスターや新聞広告で利用されるとかね。
―そこまで展開できたら、コピー大賞が地域に影響力を発揮できたと言えそうですね。
片桐/ コピーの使用権は静岡コピーライターズクラブが持っています。ですから、ぼくたちとしては協賛社に「どうぞ、自由に使ってください」と申し上げている。でも、実際のリアルなプロモーションの中で使われた実績はまだありません。そこが課題。
―イベントとしては及第点かもしれないけど、「地域を元気づける」という目標は実現できていないと。
片桐/ ぼくたちも、企業に「使ってください」とお願いするだけでなく、どのように使えば効果的なのか、具体的な使い方までアドバイスまでできるといいんですけどね。その必要を感じています。
|女子大生もいいけど、中学生が最高だね(笑)
―応募者はどんな方が多いのですか。
片桐/ 1回目は一般の方が多かったのですが、昨年は専門学校や大学などでのワークショップに力を入れたので、その成果もあり学生さんからの応募が増えました。
―今年のテーマを教えてください。
片桐/ 今年は4つあります。「お金を大切にするコピー」「商店街で買い物をしたくなるコピー」「折込チラシを男たちに読ませるコピー」「ラジオを聴きたくなるコピー」のテーマで開催します。あさって(9月1日)が告知開始日だというのに、これからポスターやフライヤーを急いで作って配りにまわるんです。それから協賛企業に進捗説明にもいかなければならない。ぼくが一番楽しみにしている「コピーの書き方」ワークショップも開催しますし。忙しくなります。
―今年のワークショップの予定は?
片桐/ 静岡大学、静岡県立大学、静岡デザイン専門学校、産業技術専門学校、浜松デザインカレッジの5校です。ワークショップには思い入れがあるので、「コピー大賞」にからまなくても個人的に力を入れていきたいと思っています。女子大生と話ができるだけでもだけでも楽しいし(笑)
―楽しいといっても、5つの学校で学生に教えるためにはエネルギーが必要でしょう。それでも続けようと思っている。
片桐/ さすがに5校すべてで自分が教えるのは難しいけど、できるだけやりたい。もちろんエネルギーは必要だけど、それは学生さん次第です。学校によって雰囲気も積極性も違いますし。でも一番は、純粋に若い人たちに言葉について教えることは楽しいから。
―これまでのワークショップでは、どんな学校で手応えがありましたか?
片桐/ それはもう、間違いなく中学校。中学生は、最高!
―それは、発想がですか?ノリですか?
片桐/ まず、純粋にこちらの話に興味をもってくれる、集中力が違う。中学生にしてみれば、普通の授業じゃないからね。
―なるほど。
片桐/ 中学生は、好き勝手に勢いだけで書く部分も確かにありますが、その一方で、自分なりにしっかり考え抜いて書いたなと思えるコピーも書くんですよ。もちろん発想が自由ということもあります。
―ちょっと見直したわけですね。
片桐/ それらのコピーが短時間のうちに、目の前で次々に生まれることに感心します。大学生になると、あれこれ考えすぎてしまってなかなか書けなくなってしまう。
―大学生にとっては、あくまで授業の一部であり勉強なんですね。自分のコピーに対する周囲の評価も気になってしまうと。
片桐/ そうですね。
(聞き手・海野尚史)
※このインタビューは、全3回のうちの2回目です。
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