32.映画『tig☆hugちぐはぐ』 監督/渡辺喜子氏(2)

2014年08月14日12:00
今月の物語の主人公は・・・
映画『ちぐ☆はぐ』 監督・渡辺喜子(わたなべよしこ)さん

32.映画『tig☆hugちぐはぐ』 監督/渡辺喜子氏(2)

 静岡県富士市出身。映画監督、女優。2013年2作目の長編映画『tig☆hugちぐはぐ』を脚本&監督。

 上映予定
静岡シネ・ギャラリー
期間:8月9日(土)~22日(金)
レイトショー上映

映画『tig☆hugちぐはぐ』 公式ホームページ
映画『tig☆hugちぐはぐ』 予告編
映画『tig☆hugちぐはぐ』 facebook

※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全3回のインタビューのうちの2回目です。
≫渡辺さんのプロフィールと1回目のインタビューはこちら
≫インタビュー3回目はこちら


・・・・・・・・・・・・・・・

|本気で落ち込んで、しばらく立ち直れなかった。

『tig☆hugちぐはぐ』 は、2作目ですね。2010年に考えた企画だそうですが、このタイミングに映画を撮った理由は何だったんですか?

渡辺/1作目の映画『貝殻』を撮ったのは2005年。その時は「ぴあフィルムフェスティバル」のグランプリを目指していたんですが、入選さえできませんでした。

-残念でした。

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渡辺/撮影に1年をかけて、本気でがんばって作ったんですが…。

-かすりもしなかった?

渡辺/はははは(笑)。そう…ですね。その時は本当に落ち込んで、しばらく立ち直れませんでした。

-作品に自信があったのですね。

渡辺/はい、根拠のない自信が。グランプリは無理でも、入選ぐらいはするんじゃないかと。

-期待していたのに?

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渡辺/今になって思えば、「ぴあ」に入選できなくても、ほかの映画祭に応募するとか、自主上映会を開くとか、自分の作った映画を観てもらう方法はいくらでもあったと思うのですが、当時は「ぴあ」の結果に心が折れて、何もできませんでした。


|一か八か、いま自分にできる全てで映画を作ってみよう!

-ご自分としては、どんな道を歩むはずだったんですか?

渡辺/自分のイメージでは、1作目を撮った後も1年に1本は作品を撮り続けて経験を積んで、いつかハリウッド大作も撮るぞ、くらいの意気込みはあったんです。でも、「ぴあ」以降、なにも撮れませんでした。

-そうですか。

32.映画『tig☆hugちぐはぐ』 監督/渡辺喜子氏(2)


渡辺/それで、32歳の時に制作会社に入社して、アシスタントディレクターとして3年間働いたんです。自分のまわりのスタッフはみんな24~5歳の年下ばかり。新人ですから一番下のポジションの人がやる仕事から始めました。それこそトイレ掃除とか、お弁当の発注とか、コンビニの買い出しとか…。

-映画の中でもそのようなシーンがありましたね。

渡辺/映画よりも現実のほうが過酷でした。3年間、その仕事をやっているうちに、自分の身体的な年齢を実感するようになりました。夜起きていられなかったり、徹夜した次の日は仕事にならなかったり。新人のわたしが一番働かなければならないのに、逆に迷惑をかけてしまう。

-30代になると、気持ちに体がついてこないと気づくんですよね。

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渡辺/そうです。映像の世界はタテ社会なので、先輩がディレクターにならないかぎり、自分には順番が回ってきません。なのに、自分の目の前にはアシスタントディレクター歴7年目の先輩がいて。

-はい。

渡辺/このまま、さらに4年も続けたら、心身ともに映画へのガッツを失ってしまうんじゃないか…。そんな気持ちになって、一か八か「会社を辞めて、いま自分にできる全てで、一度映画を作ってみよう!」と思い、会社を辞めました。


|映画を撮るしかない、と決心。

渡辺/それから、映画を撮る為のお金を稼ぐ為にアルバイトを始めたのですが、実際に動き出すまでにまた時間がかかりました。でも最終的には「自分は、いま映画を撮らないとおそらく前に進めないんだ」という事に気づいたんです。

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-どういうことですか?

渡辺/わたしは富士市出身なのですが、地元の友人たちはすでに結婚して家庭を持っている。かたや、美大時代の友人たちは、広告会社などで責任ある立場になり、第一線でバリバリ活躍している。

-どっちをみても、自分の居場所で充実した日常を送っているようにみえたわけですね。

渡辺/それに比べて、「今の自分は何やってんだろう」と。結婚の予定もないし、自分の居場所だと思える会社があるわけでもない。かといって、東京で何も成し遂げないままでは、地元に帰るわけにもいかない。

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せめて、親孝行として、娘が好きなことをいきいきやっている姿を親に見せられたらなぁ、とも思いましたが、今自分がやっていることのちぐはぐさに「こんなはずじゃなかった」と思って…。

-自分だけがどこかでボタンを掛け違えて、ちぐはぐな状態になってしまったと。

渡辺/それが2010年、37~8歳の頃。そんな状況の中で、「もう自分には、映画を撮るしかない」って決心しました。「いま撮らなきゃ、先にはいけない」みたいな…。それから、リスクをとって何かやるとしたら、人生で最後…とはいいませんが、ぎりぎりかな…みたいな感覚もありましたね。

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Posted by eしずおかコラム at 2014年08月14日12:00 | 32.渡辺喜子さん
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