今月の物語の主人公は・・・
オルタナティブスペース・スノドカフェ代表
柚木康裕(ゆのきやすひろ)さん
1965年、静岡市清水区生まれ。リサイクルブティック・スノードール、オルタナティブスペース・スノドカフェ経営。現在も会社経営とともに様々な人が出会う「場」作りを通して、地域から発信するアートの支援活動を行っている。
◆リサイクルブティック・スノードール
◆洋服をめぐる物語。by スノードール
※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史さんです。
※この記事は、全4回のインタビューのうちの2回目です。
≫柚木さんのプロフィールと1回目のインタビューはこちら
≫インタビュー3回目はこちら
≫インタビュー4回目はこちら
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|2006年「スノドカフェ」オープン
-リサイクルブティックが軌道に乗って、次に始めたのがカフェですね。
柚木/母親が亡くなって、ぼくの人生はガラッと変わりました。それまではボンクラしてましたが、これから先は、自分の力で生きていかなきゃならない状態になったわけです。ようやく少し考える余裕が出てきた2006年に、かつてバーのあったスペースを「スノドカフェ」としてオープンしました。
-カフェを始めるにあたって、思い入れはありましたか。
柚木/はい。母親がバーを開いていたころに、人の集まる場所の大切さを感じていたので、いつかもう一度やってみたいという思いはずっとありました。
-そうですか。
|「自分も何かやってみたい」という気持ち
柚木/それとブティックを手伝っていた頃に、ファッションを学ぶために文化服装学院の通信教育を受講したり、色彩検定試験を受けたりしていたのですが、その勉強で、ゴッホなどの絵画に触れる機会があって、芸術のおもしろさに気づきました。
-ええ。
柚木/当時は、村上隆や奈良美智、会田誠さんなどが脚光を浴び、絵画に興味のない人からもカッコイイと見られていて、日本の現代美術がもりあがった時代でした。
柚木/芸術やそれら東京の新しいアートシーンに興味を持ったことがきっかけで、静岡のアートを見たり、静岡のアーティストとつきあうようになったんです。そんな中で「自分も何かやってみたい」という気持ちが、スノドカフェのオープンにつながっていきました。
|“オルタナティブ・スペース”とは?
-スノドカフェでは、これまでにどんな企画を実現してきましたか。
柚木/スノドカフェの特徴は文系イベントというか、学びのイベントが特に多く開催されていることだと思います。例えば古典戯曲を読む会という毎月1度行なわれている企画はすでに6年続いています。
柚木/ほかにも文章講座、落語を学ぶ会、カリグラフィ教室とか毎月コンスタントに10企画ほどが行なわれています。そのほかにトークイベントや音楽ライブなどもたびたび開催していますね。もちろん美術の展覧会などを主催することもあります。
-スノドカフェの店名にあります、“オルタナティブ・スペース”とはなんでしょうか?
柚木/アートイベントなどに参加するようになって、アーティストではないけれどアートに関わっている人たちがたくさんいることに気づきました。そういう第三者的な立場の方が作家を支援したり、作品からうけた想いや意見を伝えたり、共有する場所が静岡にはないことも。
柚木/スノドカフェを開設するにあたって、東京で見かけていた、行政や企業が運営する美術館でもギャラリーでもない空間を静岡にも作ってみたいと思ったわけです。ここから静岡のアートの世界がひろがるきっかけが生まれればいいなぁ…と。そんな想いを込めて、第三の場所として、“オルタナティブ・スペース”とつけたんです。
-アーティストとアートに関わる人をつなげる空間なんですね。
柚木/イギリスやフランスのカフェ文化のように、カフェというのは、その時代の新しい文化を生み出してきた場所です。ぼくはスノドカフェを、そのようなカフェにしたいと思っています。カフェというスタイルをとっていますが、目的は、地域の文化が生まれる場づくりなんです。同じようなムーブメントは全国各地で生まれていて、ぼく自身がそういう場所のある街に住みたいという気持ちが強いんです。
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