44.ガイアフロー静岡蒸溜所/中村大航氏(4)

2017年09月28日12:00
今月の物語の主人公は・・・
ガイアフローディスティリング株式会社代表取締役・中村大航(なかむら たいこう)さん

44.ガイアフロー静岡蒸溜所/中村大航氏(4)
 1969年、静岡市清水区生まれ。2000年、34歳で、祖父の代から続く家業の精密部品製造会社の代表に就任。11年間経営に携わった後、2012年1月、再生可能エネルギー事業での起業を計画してガイアフロー株式会社設立。同年6月、スコッチの産地として知られるスコットランド・アイラ島の蒸溜所巡りの旅をきっかけに、ウイスキーを自らの手でつくることを決意。帰国後、ガイアフロー株式会社の事業目的をウイスキー事業を核に再構成。2014年ガイアフローディスティリング株式会社を設立、2016年、ウイスキー製造免許を取得し、オクシズ玉川地区(静岡市葵区)に、ウイスキー工場「ガイアフロー静岡蒸溜所」を完成させる。2016年、静岡蒸溜所で製造するウイスキーを樽ごと販売する「静岡プライベートカスク2017」は、販売1日で完売。全国のウイスキーファンから注目を集めているほか、観光や地域振興の面からも大きな期待を寄せられている。

ガイアフロー株式会社 HP
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※聞き手は、(株)しずおかオンライン代表/海野尚史です。
※この記事は、全4回のインタビューのうちの4回目です。
≫第1回 全国の候補地から選んだ安倍奥・玉川
≫第2回 静岡で世界に認められるウイスキーを
≫第3回 価格競争からオンリーワンの世界へ


・・・・・・・・・・・・・・・

|第4回 全国からオクシズへ
海野
中村さんが目指すウイスキーとは。

中村
ウイスキーの好みは千差万別。誰もがおいしいというものはありません。大事なことは、しっかりとした特徴があること。私自身は、華やかさと軽やかさ、そして繊細さをあわせもつ、静岡らしいお酒を造っていきたいです。

海野
これからどのように事業を成長させていく予定ですか。

中村
大手酒造メーカーに比べれば生産量は限られているので、少しずつリリースしていくつもりです。まずは、ガイアフロー静岡蒸溜所のウイスキーに興味を持ってくれるお客さまと、きちんとおつきあいさせていただくこと。そして、お客さまの反応を見ながら少しずつバリエーションを増やして、みなさまに購入していただけるウイスキーを造っていきたいと考えています。

44.ガイアフロー静岡蒸溜所/中村大航氏(4)
世界でひとつしかないという薪による蒸溜釜。この土地の資源を使ったウイスキーを生み出すことに情熱を傾ける中村大航海社長(写真左)

海野
具体的な計画はありますか?

中村
この秋から、駐車場や道路、外構整備のなどの二期工事が始まります。それから、既存の貯蔵庫はすでにいっぱいになってしまったので、2018年の完成に向けて、新たな貯蔵庫をもう1棟完成させる予定です。

海野
工場の稼働率を高くできるわけですね。

中村
はい。

海野
販売は、ネット直販がメインですか?

中村
樽販売については直販ですが、ボトル販売は酒販店さんへの卸販売になります。

海野
樽販売は、キャッシュが先に入ってくるわけですね。

中村
そうですね。そういう工夫をしないと事業としては回っていかないです。大きな会社であれば、ほかに収益を支えるメイン事業があって資金的にも余裕があると思いますが、うちの場合はこれが本業ですので、ウイスキーを売ることでしか収入はありません。

海野
ええ。

44.ガイアフロー静岡蒸溜所/中村大航氏(4)
製造風景を眺めながら試飲を楽しめる試飲カウンター

中村
ですから、どのようにしてキャッシュが回る状態を作るか、それがとても大切なんです。世界のウイスキービジネスを学んで、「そうやればやっていける」という可能性を感じられたからこそ、このビジネスに参入したわけです。

海野
はい。

中村
おかげさまで、樽での予約(「静岡プライベートカスク2017」)は、1日で予定数を完売でき、手応えは感じています。

海野
蒸溜所の見学ツアーも企画されていますね。

中村
ウイスキーはもちろんのこと、この土地、オクシズ玉川という場所も含めてファンになっていただきたいんです。この秋から工場見学ツアーも実施して、遠くからでもこの場所に来てもらえる機会を増やしていきたいと考えています。そのために、お客さまを安心・安全にお迎えできるように、駐車場や外構の環境の整備を進めています。

海野
見学ツアーはどの程度の規模のものを予定していますか?

中村
1回のツアーで12名前後を予定しています。1日1回の回数からスタートして、様子を見ながら徐々に増やしていきたいですね。将来的は、お客さまにゆっくりしていただけるビジターセンターも計画しています。

44.ガイアフロー静岡蒸溜所/中村大航氏(4)
工場外観

海野
これから実現してみたいことは?

中村
贅沢かもしれませんが、実現したいことはたくさんあります。いちばん大事なことは、自分がおいしいと思うウイスキーを造ること。そして、そのようなウイスキーが生まれる静岡のオクシズ玉川地区に、たくさんの人が来てくれるようになること。さらに、私たちのウイスキーが世界中で販売されるようになって、ウイスキーをきっかけに、日本酒や日本のワインも含めた日本のお酒の文化が世界で認められるようになることを願っています。

海野
最後に、新規事業や起業を考えている方に、アドバイスをいただけますか。

中村
大切なことは、自分がやりたいことをやることだと思います。まわりの人は、いろいろなことを言います。でも、自分の信じる道を突き進むことが大事なんです。

みんなが「いいね」と言うものは、誰もが考えること。ビジネスとして成功する可能性は、少ないと思います。自分独自の考えで、自分のポジションを創り出していくことを大切にしてください。

44.ガイアフロー静岡蒸溜所/中村大航氏(4)
ウイスキー造りを通じて地域活性化への貢献にもこだわる中村大航海社長(写真右)

◆ガイアフロー株式会社・ガイアフローディスティリング株式会社代表取締役・中村大航さんへのインタビュー/完



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Posted by eしずおかコラム at 2017年09月28日12:00 | 44.中村大航さん
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