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47.Conche代表/田中克典氏（5）
2018年06月08日12:00
今月の物語の主人公は・・・
Conche代表・田中克典
（たなか かつのり）さん
1985年、三重県松阪市生まれ、愛知県稲沢市育ち。豊田工業高等専門学校機械工学科を卒業後、販売職や営業職を経験。NPOやソーシャルビジネスなどにも関わる。さまざまな職業経験を経て、2015年に無添加チョコレート専門店「Conche（コンチェ）」（静岡市駿河区高松）をオープン。
◆
Conche
※聞き手は、（株）しずおかオンライン代表／海野尚史です。
※この記事は、全5回のインタビューのうちの5回目です。
≫第1回 コーヒーと同じ波が、チョコレートにもやってくる！
≫第2回 「ビーン・トゥ・バー」は発展途上、ふつうの人がおいしいと思えるチョコレートを
≫第3回 自宅のキッチンで始めたチョコレート作り
≫第4回 素材にこだわり、余計なものを足さない
・・・・・・・・・・・・・・・
｜第5回 チョコレート作りを通して人の役に立ちたい
海野
経営者として大変なことは？
田中
やっぱり、資金繰りでしょうか。お店を開いてから、とくに実感しています。
海野
当初想定していた以上に、お金がかかる？
田中
そうですね。チョコレート作りにかかる費用は想定できましたが、それ以外に、こんなに費用がかかるとは考えていませんでした。
海野
それは？
田中
たとえば、できあがった板チョコレートをお客さまに販売するためには、パッケージや包装紙、紙袋が必要になります。それには、印刷もしなくてはなりません。商品が売れれば同じだけ、それらの経費も膨らんでいきます。いま考えれば、当たり前のことなんですが…。
海野
たしかに、商品にパッケージは不可欠。それに、パッケージは商品イメージを左右する大切な表現手段という一面もあります。デザインも重要ですが、デザインは？
田中
ロゴからパッケージのデザインまで、すべてぼくがやっています。そこにはお金をかけられなかったので。
海野
チョコレート作りだけでなく、それ以外も本当に全部やっているんですね。ところで、カカオ豆の仕入れから商品として店頭に並ぶまでに、どのくらいの日数がかかるのですか？
田中
最短で2日、平均すれば3週間から1か月くらいです。
海野
仕入れから現金化まで、20日から1か月ですか。原材料の支払いサイトにもよりますが、キャッシュフローとしては、悪くないですね。
田中
そうですね。ただ、製造コストが高いんです。1日に作れる量は決まっているので、大量受注して、たくさん作って、利益率を高めるということができません。
海野
新たに設備投資をしない限り、売り上げの上限は決まってしまう。かといって、設備投資には、それなりの安定した受注見込みがないと。リスクも少なくなさそうです。
田中
それに加えて、チョコレートの消費量は季節変動がすごく大きいという難しさもあります。バレンタインを中心に11月ごろから3月ごろが繁忙期で、夏季は減ります。
海野
その差は確かに。需要変動の対策は、課題ですね。
海野
お店を開いてよかったことは？
田中
味覚が敏感になったことと、食べ物に対する意識が高まったことでしょうか？静岡県は、野菜もおいしいし、魚も新鮮。産地が近くて、とても恵まれていると思います。
海野
そうですね。
田中
それから、お茶農家さんやイチゴ、キウイなどのフルーツを作っている生産者の方たちと知り合えたことも、よかったことのひとつです。おもしろい食材の情報が入ってきて、プライベートでの楽しみも増えました。
海野
地元の特産品を使った商品開発にも積極的です。地域に対して、特別な想いはありますか？
田中
チョコレートに限らず、自分が食べる食材が、どこから来て、どんな人が作っているのか、生産者の想いを、お店を通して静岡の地元の人に知ってもらえたらと思います。静岡は身近なところにいいものがたくさんあるので、どんなものを、どんな人が作っているのか知って欲しいです。
海野
はい。
田中
値段は少し高いかもしれませんが、コストがかかることを理解して、いいものを作っている生産者さんを応援していければ。地域の中に生産から消費までのよい循環を作り、維持していくことで、サスティナブルな地域社会を作る取り組みの一助になれたらと思います。
海野
これから取り組んでいきたいこと、実現してみたいことは？
田中
チョコレートを作ることで、誰かの役に立ちたいです。今は、カカオ豆を購入することで、カカオ豆の生産者さんや、生産者を支援する人たちの役には立てていると思います。これからはその幅を広げて、より多くの人のためになれたらいいかな。国内でも助けを必要としている人がいるので、チョコレート作りの仕事を通して、そのような人たちのためになれたらと思います。
海野
今日はありがとうございました。これからどんな新しいチョコレートが誕生するのか楽しみにしています。そしてチョコレート作りを通じて、ぜひ夢を実現してください。
◆Conche・田中克典さんへのインタビュー／完
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